病院薬剤師として働く際、最も基本的な業務のである調剤業務のポイントについて、実例を交えながら簡単に解説したいと思います。
調剤業務は基本的に薬局と大きく変わらないのではと思われるかも知れませんが、
電子カルテ・検査値といった点では多少異なるかと思います。
もちろん調剤薬局と同様に注意すべきことも書いております。
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①電子カルテで診察記事や記録を確認する
電子カルテに記載されている主治医や看護師や薬剤師の記事を確認します。
患者の様子やイベントなどが記載されていて、大変参考になります。
例:下痢をしているのに、下剤が継続して処方されている。
例:医師が薬を中止と書いているが、継続になっている。
例:他の薬剤師が疑義照会している内容や注意点など記録している場合がある。
②適応・用法用量を確認する
同じ薬でも規格が異なることで適応が違う場合があります。
また同じ薬でも、病名によって用法容量が異なるため、病名をカルテで確認します。
適応や用法用量が異なるような薬を把握しておく必要があります。
例:アーチスト錠:
1.25mg→虚血性心疾患or拡張型心筋症に基づく慢性心不全
10mg→本態性高血圧・腎実質性高血圧・狭心症・頻脈性心房細動・拡張型心筋症に基づく慢性心不全
例:フォシーガ錠:
糖尿病→1日1回5mg(10mg増量可)
慢性心不全→1日1回 10mg
③採用薬で多規格ある場合は把握しておく
調剤室にある薬で多規格あるものは、把握するようにしましょう。
多規格あるのを認識していないと、間違える可能性があるため注意が必要です。
これは調剤薬局でも同じですね。
例:ワーファリン錠5mg,1mg,0.5mg:
このように多規格あることを知っておくと、ピッキング時に注意できます
④粉砕・簡易懸濁・一包化不可の一覧を確認しておく
粉砕・簡易懸濁できない薬があるので、粉砕ハンドブックなので、確認しましょう。
院内の粉砕・一包化できない薬のリストがあれば、一度目を通しておきましょう。
⑤検査値やバイタルを確認する
バイタルやSPO2、血液検査や培養結果などリアルタイムで確認できます。
バイタルや検査結果を見て、処方内容に問題ないか確認します。
例:低血圧なのに、降圧薬が処方されている。
例:K値が高いが、アルダクトン錠の内服継続している。
⑥薬の相互作用を確認する
調剤薬局でも、内服薬の相互作用を確認すると思いますが、病院では内服薬と注射などの相互作用を見ていく必要があります。
例:デパケン錠・メロペン注:デパケンが無効になり、血中濃度が低下。
⑦疑義照会
医師の単純な処方ミスの場合もありますし、腎機能・肝機能を考慮すると投与量が多い場合もあります。他にも相互作用など問題あれば確認する必要があります。
検査値を見て、処方に問題があれば、疑義照会する必要があります。
例:イグザレルト錠 Ccr15未満の場合(適応によってはCcr30)
→禁忌のため、投与不可
⑧記録を残す
疑義照会や服薬指導した内容は必ず電子カルテや処方箋に記載します。これは自分の身を守るためにも非常に重要な作業です。
他にも他職種とのやり取りで重要なことであれば、同様に記録を残します。
⑨リスクマネジメントをする
どんなベテラン薬剤師でもミスをする可能性はあります。
ただベテランは自分でリスクマネジメントをすることで、ミスが起きないよう気をつけています。
自分の体調、自分のしやすいミス、声出し・指差し確認をするなど、常に気をつけながら、調剤業務をしているので、ほぼベテランは間違えません。
間違えた場合は、ヒヤリハットやインシデントとして報告し、リスク委員会で分析されます。そしてまた同じミスをしないように、対策を立てて、フィードバックを行います。
この一連の流れを自分の中でも普段から行うようにしましょう。
まとめ
病院薬剤師が調剤時に気を付けるべき基本的なことを書かせて頂きました。
調剤薬局と基本的には変わりませんが、電子カルテ・検査値・注射といったところが大きな違いかと思います。
まだ他にもたくさんありますが、まずはここを押さえていれば、働き始めてしばらくは問題ないかと思います。
これからも病院薬剤師として、一緒に頑張っていきましょう!